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も っ ち ょ う じ い せ き
持長地遺跡 中世武士の屋敷

屋敷跡から出土した鉄製の鐙(右は復元模式図)

建物の柱穴から出土した常滑(愛知県)産の陶器・甕

発見された柱穴群と建物跡
 持長地遺跡は、松川西岸の河岸段丘上に営まれた遺跡です。昭和45年に東北自動車道建設に伴なう発掘調査が宮城県教育委員会によって行なわれました。

 調査の結果、多数の柱穴が密集して確認され、四面に廂が付く格式の高い建物などを配置した屋敷跡であることが判明しました。

 建物の柱穴跡や周辺からは、陶磁器(陶器甕・鉢・壺、青磁碗)、鉄製品(鐙:あぶみ、鈴、刀子、鎌、斧)、鉄滓、古銭などが出土しています。陶器は常滑(愛知県)産、福島市毘沙門平窯産、白石市白石窯産でのものがあります。青磁は当時の高級品で、中国産と考えられます。

 鉄製鐙(あぶみ)と鈴は比較的珍しい出土品です。鐙は馬具の一つで、鞍の両側に吊り下げて馬に乗る人が足をかけるものです。出土した鐙は足を乗せる部分が長く伸びる形で、武士が用いることが多かったようです。

 このように、格式の高い廂付き建物の存在や、陶磁器、鉄製品などの出土遺物から、持長地遺跡は中世の武士階級の人物の屋敷であったと考えられます。

 なお、本遺跡の西側に隣接する丘陵上には山家館跡が位置しています。館跡の詳細は不明ですが、相互の位置関係から、本遺跡の屋敷が日常生活の場であり、有事の際に背後の丘陵上にある山家館を軍事拠点として用いたと推定されています。

DATA
所在地 蔵王町宮字持長地
時代 中世(鎌倉時代、13〜14世紀)
種類 屋敷跡
遺構 建物跡など
遺物 陶磁器、金属製品、古銭など
見学メモ
黄金川沿いに張り出した高台の平坦面一帯が遺跡です。
標柱等は設置されていません。
遺跡の現状は畑地・宅地です(発掘調査をした場所は高速道路になっています)。

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