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ひ ょ う え だ て あ と
兵衛館跡 土塁や堀で守り固めた中世山城

兵衛館跡に現在も良く残る土塁と空堀の跡

円田盆地を一望する頂上の平場
平場の周囲には階段状に造成された曲輪が巡る
 兵衛館跡(別称:兵糧館)は、円田盆地北西側の標高228mの丘陵上に築かれた中世の山城跡です。頂上の平場は、円田盆地からの比高差が約130mあり、盆地やその周辺を一望することができます。

 兵衛館についての古記録は少なく、城主について近世の「仙台領古城書上」に「横尾兵衛」、「安永風土記」に「志津摩信濃守」の人名が見えますが、詳しいことは分かっていません。

 館の構造は頂上に大きな平場(主郭)を持ち、周囲にいくつかの小さな曲輪を配した単郭構造で、東西を二重の曲輪と土塁が取り巻いています。

 館跡は地元の人々の手によって史跡公園として整備され、親しまれています。下草がきれいに刈り払われているため、館の大規模な土木工事の跡が現在まで非常に良く残されている様子が良く分かります。

 平成5年〜12年には、東北福祉大学が野外実習として8次にわたり発掘調査を行ない、平場を中心に柱穴や土坑、焼土遺構などが発見されました。また、陶磁器(皿・碗・鉢・すり鉢など)、石製品(石臼・石鉢・硯・火打石など)、金属製品(金銅製金具・鉄釘など)、鉄滓、古銭など多彩な遺物が出土し、山城で行なわれた活動の一端を窺い知ることが出来ます。出土品の中には中国産の磁器や金銅製金具など高級品も見られ、謎に包まれた兵衛館の館主と関係する遺物と考えられます。

DATA
所在地 蔵王町大字小村崎字大久保
時代 中世
種類 城館跡
遺構 平場、曲輪、土塁、空堀、柱穴、土坑、焼土遺構など
遺物 陶磁器、石製品、金属製品、鉄滓、古銭など
見学メモ
「兵糧館展望台」の案内表示に従って進み、行き止まりの駐車スペース南側の丘陵が館跡です。
現地には昭和61年設置の説明看板があります(頂上の展望台付近)。
遺跡の現状は山林(史跡公園)です(発掘調査をした場所は埋め戻されています)。

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