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あ た ご や ま い せ き
愛宕山遺跡 村田・円田盆地境の山上に営まれた集落

円田・村田盆地境の尾根上に営まれた愛宕山遺跡(写真中央の頂上部分)。平地との比高差は約90mある

発掘調査の様子(神楽殿再建地点)
古墳時代前期の竪穴住居跡(一部)
食料を保存したと考えられる古墳時代の貯蔵穴
古墳時代前期の住居跡から出土した土師器の甕
 愛宕山遺跡は、蔵王町と村田町にまたがる標高約169mの愛宕山丘陵の尾根上に立地する遺跡です。遺跡のほぼ全域が愛宕神社の境内となっています。平成24・25年(2012・2013年)に愛宕神社神楽殿再建・参道改良工事に伴って発掘調査を実施したところ、古墳時代の竪穴住居跡や袋状土坑(どこう、貯蔵穴)が発見されました。

 竪穴住居跡は調査範囲が狭く全体の状況は不明ですが、地面を20cmほど掘り下げて構築した床面と、赤く焼けた炉跡が確認されました。床面は固く踏み固められており、土師器の甕などが出土しました。貯蔵穴は直径2mほどの楕円形で底面に行くほど広く、深さ80cmほどです。住居跡から出土した土師器は古墳時代前期(4世紀、約1700年前)のものと考えられ、本遺跡には当時の集落が営まれていたことが判明しました。

 本遺跡は西側の円田盆地の平地から見ると約90mの比高差があり、山上に営まれた集落であることが分かります。このような立地の集落は珍しく、周辺で発見されている古墳時代の集落跡が平地からの比高差約10〜20mのところに分布することからも特異性が際立っています。

 本遺跡の立地する愛宕山丘陵は、東西に隣り合う円田盆地と村田盆地を分けるように南北に長く延びています。同じ尾根上には、北東約230mに古峯神社古墳、約530mに夕向原1号墳が立地しており、いずれも本遺跡の集落と同じ古墳時代前期に築造されたと考えられる前方後円墳です。これらの古墳は当時の円田・村田盆地を一体的に支配した豪族の墓と考えられており、本遺跡の集落もそうした有力者の存在と関係があるものと推定されます。

DATA
所在地 蔵王町大字平沢字立目場
時代 古墳時代・前期(4世紀)
種類 集落跡
遺構 竪穴住居跡・貯蔵穴
遺物 土師器
見学メモ
愛宕神社境内の通路で囲まれた高まり一帯が遺跡です。
遺跡の現状は境内地・山林です。標柱等は設置されていません。

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