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ろ っ か く い せ き
六角遺跡 奈良時代初頭の開拓移民の集落

縄文時代の落し穴跡の発掘

 六角遺跡は、小村崎地区の円田盆地に北から細長く伸びる丘の上にあります。水田を使いやすいものに作り替える「県営ほ場整備事業」に先立って、平成18年に発掘調査が行なわれました。

 発掘調査では、縄文時代の人びとが狩をするために掘った落し穴の跡や、古墳時代と奈良時代、平安時代の集落の跡などが見つかりました。

 今からおよそ3000年から5000年ほど前の縄文時代、六角遺跡の丘の周囲は湿原のような状態だったようです。水辺には多くの動物が集まったのでしょうか。丘のいたるところでシカやイノシシを捕らえるために掘られた落し穴の跡が見つかりました。六角遺跡の丘は、縄文時代の人びとの狩猟場(しゅりょうば)として利用されていたのです。

 落し穴の跡は、丘の尾根筋や斜面に10mほどの間隔で列状に並んで掘られていました。幅の広い小判形をしたものと、幅の狭い溝状のものとがあり、小判形のものはイノシシなどを落しこんで、溝状のものはシカなどの足元を奪って転倒させて捕らえるものだったようです。深さは2m近いものもあり、スコップやツルハシのない時代に一体どのようにして掘ったのかと驚かされます。

 当時、円田盆地の西側の高木丘陵と呼ばれる丘の上には、鞘堂山(さやどうやま)遺跡や湯坂山(ゆざかやま)遺跡などにいくつかの大きなムラがつくられていました。六角遺跡の丘で捕らえた獲物を手に、子どもたちの待つムラへ帰る人びとの姿が目に浮かぶようです。

幅の広い落し穴
幅の広いほうの落し穴は、長さが1〜1.5m、幅が70cmくらいです。穴の底には木の棒を立てたような跡がありました。これは、穴に落ちた動物が身動きを取れなくするためのものです。
幅の狭い落し穴
幅の狭いほうの落し穴は、長さが1.2〜2m、幅が40cmくらいの細長い形です。穴に落ちた動物が、狭い穴に足をとられて身動きを取れなくするつくりになっています。
落し穴猟をしている様子(想像図)
縄文時代の人びとは、丘の上にいくつもの落し穴を列のように並べて掘りました。そこに、ムラのみんなで獲物を追い込み、穴に落ちたところを捕らえました。
六角遺跡と蔵王連峰
六角遺跡の丘の周囲は現在水田として利用されていますが、縄文時代には湿原のような状態だったようです。蔵王連峰の手前に見える丘が高木丘陵です。

DATA
所在地 蔵王町大字小村崎字六角地蔵
時代 縄文時代中期〜後期(約3000〜5000年前)
種類 狩猟場跡
遺構 落し穴状土坑
遺物 縄文土器・石器(石鏃・箆状石器など)
見学メモ
小村崎コミュニティーセンターから六角地蔵のある共同墓地にかけての一帯が遺跡です。
現地には説明看板を設置しています(小村崎コミュニティーセンター南側の作業道沿い)。
遺跡の現状は水田・畑地です(発掘調査をした場所は作業道・水路になっています)。

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