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小村崎地区で行なわれている前戸内(まえとうち)遺跡・西屋敷(にしやしき)遺跡の発掘調査の見学会が6月13日(土)、現地で開かれました。
前戸内遺跡では、平安時代前半(今から約1,200〜1,000年前)の竪穴住居跡10軒がまとまって見つかりました。住居内からは当時の食器類(土師器:はじき、須恵器:すえき)や鉄製の鎌、砥石、鉄滓(てっさい、鍛治を行なった時の残りかす)などが出土しています。土師器には外側に墨で文字が書かれているものがあります。昨年行なった隣接地の調査では掘立柱建物跡19棟、竪穴住居跡6軒などがまとまって見つかっていることから、前戸内遺跡はこの地域でも中心的な役割を持った集落あるいは地域の有力者(豪族:ごうぞく)の住まいであった可能性があります。
西屋敷遺跡では、中世(鎌倉〜戦国時代、約800〜400年前)頃と見られる大溝跡と、掘立柱建物跡群が見つかりました。今回調査した場所は、中世のこの地域を治めた領主(りょうしゅ)の居館(きょかん)と考えられる西小屋館跡(にしごやたてあと)に隣接しています。発見された大溝跡は西小屋館跡を囲む土塁(どるい)に沿って掘られていることから、西小屋館の主と密接な関わりを持つ人物の屋敷地だった可能性があります。
当日は町民の皆さんなど54名が参加し、発掘された竪穴住居跡や大きな溝の跡などの様子を見学しました。水曜に梅雨入り宣言が出され、天候が心配されましたが、幸いにときおり晴れ間ものぞく見学会日和となりました。参加者の皆さんは、発掘されたばかりの住居跡に興味津々。「何十年もこのあたりの畑を耕してきたけれど、こんな素晴らしいものが埋まっているとは知らなかった」などと驚いていました。
発掘調査現場の見学会の後には、すぐ近くにある町指定文化財「奥平家住宅」の特別一般公開が行なわれました。奥平家住宅は、江戸時代後期の文化6年(1809年)に建築された萱葺き入母屋造りの民家です。奥平家は江戸時代の平沢・小村崎村の肝煎(きもいり、村の代表者)を勤めました。個人のお宅なので普段は見学することが出来ませんが、当日は所有者さんのご好意により建物の中までじっくり見学させていただくことが出来ました。
平安時代の前戸内遺跡、中世の西小屋館跡と西屋敷遺跡、そして江戸時代に建てられた奥平家住宅を見学した参加者の皆さんは、この周辺がずっと古くから地域の中心地であり続けたことを実感していました。
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発掘された竪穴住居跡の説明。住居跡の中からは当時の食器類が多く出土しました。「ここは煮炊きをしたカマドの跡です」 |
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教育総務課長よりあいさつ。「博物館とは一味違った歴史探索を楽しんでください」 |
前戸内遺跡では平安時代の竪穴住居跡が10軒見つかりました。 |
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鉄製の鎌と砥石が出土した竪穴住居跡。「道具の手入れをしていたようです」 |
竪穴住居跡などから出土した遺物の説明。「文字の書かれた土器もあります」 |
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発掘現場をパチリ。うまく撮れたかな? |
西屋敷遺跡の発掘調査区。「奥に見える杉木立の中が西小屋館跡です」 |
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大溝跡の説明。「地層の断面を観察すると、溝を掘りなおした様子が分かります」 |
掘立柱建物跡の説明。「無数の柱穴は建物を何度も建てなおした結果です。」 |
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奥平家住宅の特別一般公開。「今からちょうど200年前に建てられました」 |
奥平家の歴史などについて、所有者さんに解説していただきました。 |
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発掘調査成果見学会資料(画像をクリックすると大きく表示します) |
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発掘調査見学会資料ダウンロード(PDF形式、1.94MB)
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平成21年6月17日更新<M> |