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4月25日(土)、第1回蔵王町出土遺物検討会が蔵王町教育委員会と宮城県考古学会古墳古代研究部会(代表・辻秀人東北学院大学教授)との共同主催で「円田盆地周辺における7〜8世紀の土器様相」をテーマに開かれました。
蔵王町では近年、十郎田遺跡、六角遺跡、都遺跡など7〜8世紀(飛鳥時代〜奈良時代の初め頃)の遺跡の調査が進んでいます。調査で発見された竪穴住居跡や土器には、当時の宮城の人びとの文化とは異なる特徴があることが分かっていました。これらの最新資料を専門の研究者の方々に検討してもらい、考古学的な重要性を明らかにすることが今回の趣旨です。
当日は考古学研究者の方々など44名が参加し、ございんホール研修室に並べられた最新の出土資料を前に活発な意見交換が行なわれました。宮城県内のほか山形県、福島県、栃木県からも古代の土器に詳しい専門家の方々が参加しました。町内からも数名の方が参加され、最先端の研究を体感していました。
検討会では、はじめにスライドで関係遺跡の発掘調査の様子が報告されました。短い時間でたくさんの成果を紹介したため、やや大雑把な報告になりましたが、発見された竪穴住居跡や材木塀跡、大溝跡の様子をご覧いただきました。
その後、出土した土器類を実際にご覧いただき、参加者同士の活発な意見交換が繰り広げられました。遺物検討の後半では、急遽各遺跡の出土土器を前にしての研究者同士の討論を行ないました。事務局の不手際と予告にない突然の展開に研究者の皆さんにはご迷惑をおかけする一幕もありましたが、東北学院大学の辻秀人先生の進行により、宮城県教育委員会の村田晃一さん、東松島市教育委員会の佐藤敏幸さん、福島県文化センターの菅原祥夫さんをはじめとする最先端の研究者の皆さんが意見交換を行ないました。
意見交換では、「六角遺跡、掘の内遺跡(8世紀前半)などの土器の中には<関東系土師器>(当時の関東地方の技術で作られた土器)が含まれているが、これまで宮城県で見つかっているものとは異質である」(佐藤さん)、「六角遺跡の土器(8世紀前半)は宮城県には類例が少なく、福島県に多くみられる」(菅原さん)、「十郎田遺跡(7世紀後半)は<囲郭集落>(律令政府が役所などの建設に先立って設置した移民の集落)の好例と考えられる。これまで宮城県北部を中心に確認されていたが、宮城県南部でははじめての確認となる」(村田さん)などの興味深い意見が寄せられました。
検討会の最後には、佐藤敏幸さん(宮城県北部)、菅原祥夫さん(福島県)に各地域の土器様相についてご報告いただき、辻先生に総括コメントをいただきました。コメントでは、「(材木塀で囲まれた集落が造られることなど)歴史的な動向は宮城県北部との、土器の様相は福島県との共通性が浮き彫りになった。当時の円田盆地にいったい何が起きていたのか、これからの研究が非常に興味深い」(辻先生)と話されていました。
今回の検討会の成果は、現在進められている十郎田遺跡の発掘調査報告書の作成や、考古学や古代史の最先端の研究に生かされていくことになります。また、文化財展などで町民の皆さんへ分かりやすくお伝えしていきます。
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平成21年5月12日更新<M> |
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