どきたんドットコム昔ばなし>蛇の若衆(後編)



話し手
編 集

伊藤みどり(蔵王町北境区)
蔵王町教育委員会(2010)

※このお話は、「蛇の若衆」の後編です。前編をお読みになっていない方は、先に「蛇の若衆」(前編)をお読み下さい。

次の日の晩になって、姿のいい若衆がまた忍んで来たんだと。
娘は若衆の着物の裾さ、長い糸を通した針を若衆さ気づかんね様に刺したんだと。

朝になって、娘の部屋から伸びている糸をどこまでも辿って行くと、裏の山の日陰の茂みさ続いていて、穴の中まで入っていたんだと。
みんなして、穴の中をおっかなびっくりのぞいて見ると、尻尾さ針のささった大きな蛇が、白い腹を見せて死んでいたんだと。
若衆に姿を替えてきたのは、大きな蛇の精だったと。

もともと蛇は、金気に弱くて、針ぐらいの金気でも、苦しんで死ぬんだそうだ。
若衆が来なくなって、娘は、日増しに元気になっていったど。
蛇は器量の良い娘を、嫁ごにしたかったんではないべかや。


 ※「蔵王町史 民俗生活編」掲載の「蛇の若衆(話し手:伊藤みどりさん)」に基づき、その内容・意味・趣旨に変更を加えることなく、文体修正・一部文章修正を行いました。
2010.11.10更新

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