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朝日山のきつねっこ(2)(前編)

話し手
記 録
編 集


不明
平沢青年委員会(1984)
蔵王町教育委員会(2010)

 昔むかしのことだった。

 ある日、年寄りじいさんが、平沢から朝日山の道を通って高木に用足しに行こうとしてたんだ。古寺(フンデラ)を通って朝日山あたりに来たとき、山の土手にキツネが昼寝してたんだと。そのキツネは、いっつもお侍なんかに化けて人をばかにしてたんで、みんな困ってたんだと。じいさんは、「このキツネめ、いっつも人様をばかにしてるから、ひとつ、おどかしてやっぺ」と思って、そーっとキツネに近づいて、「なじょにしました?お侍さん!!」って、おっきな声を出しておどかしてやったんだと。キツネは、寝てたところをいきなり大声で騒がれたのにびっくりして、十尺ばかり飛び上がったんだと。じいさんは、ざまあ見ろと思いながら、振り返りもせずに急いで逃げてったんだと。

 それからじいさん、高木で用足しをして、ついでに酒っこ呑んで、夕方ごろになってから、ふらりふらりともとの道を戻って来たんど。古寺(フンデラ)あたりには、馬を集めて手入れをする馬小屋があったんだけど、ちょうどじいさんがその馬小屋のあたりに来た頃には、あたりはもうすっかり暗くなってたんだと。

(後編につづく)


 ※「平沢むかしむかし」掲載の「朝日山のきつねっこ」に基づき、その内容・意味・趣旨に変更を加えることなく再構成したものです。
 ※「朝日山」は、現在の地名で言うと「平沢字諏訪舘(すわだて)」の一部にあたります。ちょうど「字諏訪舘」「字長窪(ながくぼ)」「字八ヶ屋敷(はっけやしき)」の間あたりです。
 ※「古寺(フンデラ)」は、現在の地名で言うと「平沢字高橋」の一部にあたる古地名です。現在は平沢字台屋敷に所在する「清立寺」が移転前にあった場所であることから付けられたと伝わっています。
2010.9.1更新

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