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話し手
編 集 |
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菅井酉治さん(蔵王町遠刈田温泉)
蔵王町教育委員会(2009) |
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むかしむかし、遠刈田温泉の佐藤源兵衛が営む旅館の裏におっきな池があって、カエルが一匹住んでいたんだと。それに、近くの神社の森には一匹のサルが住んでいたんだと。
ある時、源兵衛旅館で餅つきしてたときのこと。その様子をうかがっていたサルが餅を食いたくなって、カエルのところに行ったんだ。
「カエルさんや。源兵衛さんのところでついてる餅を何とかして食いたいもんだが、どうしたらよかろうね?」
そしたらカエルは、
「それなら、オレが池の中で子どもの泣き声をまねてみよう。源兵衛さんのとこでは、子どもがおぼれたと思って、みんなで駆けつけてくるはずだ。お前さんはその間に餅をいただいてしまえばいい。うまくいったら、鐘つき堂のところで落ち合うとしよう。」
と言ったんだと。
企みがまとまったところで、さっそくカエルは池の真ん中で子どもの泣き声をまねたらば、源兵衛さんのところの人たちは大慌てになって、餅つきなどそっちのけで池に駆けつけたんだと。でも、池には人っ子ひとり見えなくて、あちこち探しても変わったことはなかったんで引き返してみたら、餅が臼ごとなくなっていたんだと。
(中編につづく)
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※「蔵王町史 民俗生活編」掲載の「蛙と猿の知恵くらべ(話し手:菅井酉治さん)」に基づき、その内容・意味・趣旨に変更を加えることなく、文体のみ修正しました。
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2009.12.22更新 |
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