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六道救済の如意輪観音像。『歯痛の妙薬』と重宝される

 阿梅ノ方墓標

歯痛の妙薬として削り取られ、表面がすっかり失われてしまった阿梅の墓

 片倉重綱(かたくらしげつな)の後添えとなり、天和元年(1681)に78歳で死去した真田幸村五女、阿梅(おうめ)の墓は、阿梅の菩提寺である当信寺の本堂裏にあります。墓標は蓮華座に座した如意輪観音(にょいりんかんのん)の石像です。如意輪観音は一面六臂(いちめんろっぴ)(顔がひとつ、腕が6本)の観音菩薩で、六道(仏教の思想で、生命が生まれ変わる六つの世界。天道・人道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道)において迷える者を、それぞれに対応した手で救い上げてくれるのです。

 真田家の家紋としても名高い『六文銭』の風習も、江戸時代初頭までは『六道銭』といって、六地蔵(これも六道それぞれで人々を救済する存在と考えられていました)へのお布施と考えられていました。六文銭を家紋とする真田家の姫、阿梅の墓標が六道救済の如意輪観音・・・偶然として片付けるには『出来過ぎ』だと思いませんか?

 如意輪観音は片手で頬杖をついた姿で表されます。その姿が歯の痛みをこらえる様に見えるからでしょうか、古くから「この像を削り取って、粉にして飲めば歯痛に効く。」と信じられていました。長い年月たくさんの人々に削り取られて、今ではこの墓標が何の姿なのかわからないほどになってしまいました(一説には、阿梅はよく虫歯を患っていたという言い伝えがあることから、歯痛に特効ありと信じられるようになったともいわれています)。

如意輪観音像の頭部
たしかに! ほっぺたを押えているように見えますね。


見学メモ
所在地 白石市本町62 当信寺内 (JR東日本『白石駅』から徒歩5分)
所有者 当信寺
公開日 随時
料 金 なし
駐車場 なし
現地までの案内表示 なし
現地での説明表示物 説明板
見学のための手続き 特にありません。ご自由にご見学下さい
見学地の整備状態 良好

真田幸村墓碑  片倉守信墓碑  阿梅ノ方御位牌  阿梅ノ方墓標  三井氏墓碑
我妻佐渡墓碑  真田幸清筆子塚  真田豊治墓碑  真田喜平太墓誌銘

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